企業会計の世界と税務会計の世界は違う

法人税申告書は、個人の確定申告書と違い複雑で難しいです。個人の確定申告書は自身で何とか作成できても、法人税申告書に関してはそういうわけにはいきません

法人税を計算するうえで理解しておきたいことは、

法人税は利益に税率を乗じて計算しますが、

「企業会計の世界の利益」と「税務会計の世界の利益」は違うという事です。

例えば、企業会計の世界では当期の経費でも、

税務会計の世界では当期の経費として認められないものがあります。

法人税の支払は、企業会計の世界では一般的に「法人税等」という科目を使って経費として計上しますが、事業税を除き、税務会計の世界では経費として認められません。

他にも、

  • 企業会計の世界では当期の経費ではないが、税務会計の世界では当期の経費になる
  • 企業会計の世界では当期の収益ではないが、税務会計の世界では当期の収益になる
  • 企業会計の世界では当期の収益だが、税務会計の世界では当期の収益ではない

登場頻度の違いはありますが、これらの4パターンがあります。

このような企業会計と税務会計の違いを法人税申告書の「別表4」という書類で調整の計算をします。

ただ小規模企業においては、実務的に言うと、税務会計に合わせて会計処理をすることがほとんどですので、上場企業等と比較して調整をする箇所は少ないです。

上場企業等は金融機関や投資家等の外部の利害関係者に対して、財務諸表等を見せなければなりません。利害関係者は、これらをもとにその企業に投資をするか判断するわけです。

そのため、企業会計の世界では、保守的に会計処理をすることと正確な期間損益計算が求められています。

保守的に会計処理をするという事の例として、

損失が見込まれているものは損失としてあらかじめ計上するような会計処理があります。

この損失をあらかじめ計上しておかないと、ある期に実質的には損失が生じていたにも関わらず、その期に企業会計上は利益がしっかり出ているが、後にその損失が明るみになって実際は赤字であることがわかった。という事が起こり、投資家の判断を狂わせることになってしまうからです。

一方で税務会計の世界では、どの会社も平等に税金計算をするための利益を計算することが求められています。

先で述べたような企業会計の処理で行う、損失が見込まれるものを損失としてあらかじめ計上するという事は税務会計の世界では認められないことが多いです。

損失の見込み額というのは主観的な面もありますし、何通りも考え方があります。極端な話をすると納税額を下げるために、損失の見込みを大きく計上するというようなことも出来てしまため、法人税を計算するうえでは厳格に定められているのです。

ただ、先ほども少し説明した通り、小規模企業は税務会計のルールに合わせることがほとんどですので、損失の見込みを計上するようなことはほとんどありません。

上場企業等と違って、株主=代表者本人やその家族等であることがほとんどで利害関係者が財務諸表を見て投資判断するという事がほとんどないからです。

ここまでざっくりではありましたが、企業会計の世界と税務会計の世界は異なるということを説明してきました。

他の記事でも述べてきたことではありますが、最近クラウド会計の会社が「簿記の知識不要」「税理士不要」ということを謳っていますが、言い過ぎだと思います。

企業会計にしても、税務会計にしても、会計処理にはそれなりの勉強時間や実務経験をこなさなければ正しく処理することが難しいものが多々あります。

そこで悩んで本業の時間をつぶしてしまうのであれば、税理士事務所に記帳代行を依頼される方が良いかと思います。

 

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