「これって、税理士に聞いていいことなんだろうか……」

こんなふうに感じたことがある、ひとり社長の方も多いのではないでしょうか。

税務顧問をお願いしている以上、何でも相談できる関係でありたい——それが理想です。

ですが実際には、「あ、これ聞くのはやめておこう」と感じてしまう瞬間があるのも事実。

当事務所にも、税理士変更を検討される方から「相談しづらくて…」というご相談が後を絶ちません。

ひとり社長にとって、顧問税理士は“税務だけをお願いする人”である一方で、“ちょっとした経営の悩みも聞いてほしい人”でもあります。

この記事では、実際のひとり社長から聞いたリアルなエピソードをもとに、「相談しにくい」と感じた具体的な場面を掘り下げていきます。

あるひとり社長が、今後の事業展開として新しい売上ルートを検討しているという話をしたときのこと。

「こういう業務を始めてみようかと思うんですが、既存の事業との関係とか、会計処理ってどうなるんでしょうか？」

そんな風に相談したところ、返ってきたのは「それ、うちで扱う範囲じゃないですね。経営判断はご自身で」とピシャリ。

たしかに、税理士は経営コンサルではありません。

しかし、“この話題には踏み込まないでほしい”という態度がにじむだけで、相談のハードルは一気に上がってしまいます。

ひとり社長は、社員もいなければ、気軽に相談できる右腕もいない。

だからこそ、「少し話を聞いてくれるだけでもありがたい」というケースが多いのです。

すべてに答えなくても構わない。

「その方向性、面白そうですね」「こういう点に気をつければ良いかもしれません」と一言添えるだけで、相談してよかったと思えるのです。

あるひとり社長の方は、事業が拡大し始め、そろそろ人手を増やそうと考えていました。

「正社員じゃなくて外注の形にした方がいいですかね？」

そんな風に相談したところ、税理士の返答は「それなら社会保険の加入手続きが必要ですね」とだけ。

社長としては、「誰を、どの形態で、どう雇うべきか」という点について、少し話をしたかっただけでした。

でも、返ってきたのは、制度上の義務の話だけ。

「法律的にはそのとおりなんだろうけど、相談した意味なかったな……」と感じてしまったそうです。

もちろん、税理士にできることには限りがあります。

でも、「その方ってどんな役割で関わる予定なんですか？」と一歩踏み込んで聞いてくれれば、まったく印象は変わったでしょう。

相談の背景にある“意図”まで理解してくれるかどうか。

それが、相談のしやすさに大きく関わってきます。

あるIT系のひとり社長は、売上の大半がサブスク型の収益になっているとのことでした。

そこで、「今期の見通しはサブスク次第なので、どのタイミングで課金処理を会計上認識すべきですか？」と税理士に質問。

返ってきた反応は、「えーっと……、もう少し詳しく仕組みを教えてもらえますか？」と、困ったような表情。

それ以降、なんとなくその話題には触れづらくなってしまったそうです。

もちろん、すべての業界の課金モデルや販売方法を理解している税理士はいません。

ただ、「面白い仕組みですね！」「その収益ってどういう流れなんですか？」と、まずは興味を持って聞いてくれるかどうか。

それだけで、社長側としては「話してもいいんだ」と感じることができるのです。

「理解してくれそうにないな」と思った瞬間、人はそれ以上の相談をやめてしまいます。

税理士の仕事は、本来「税務処理」に特化したものです。

でも、ひとり社長にとって税理士は、ある意味「数少ない第三者の相談相手」でもあります。

決算や申告のことだけでなく、事業の進め方や日々の不安について、ちょっとしたヒントをもらえる存在でいてほしい。

当事務所では、ひとり社長の方が相談しやすいよう、チャットでのやりとりや資料の共有方法も含めて、できる限り敷居を低く保つよう心がけています。

もちろん、すべての相談に応えられるわけではありません。

でも、「この人なら、話してもいいかも」と思っていただけること。

それが、税理士とひとり社長の関係性において、最も大切な要素だと考えています。

もし、今の顧問税理士に「なんか話しにくいな」と感じたことがある方は、一度当事務所にもご相談ください。

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