事前確定届出給与はやるべき?税理士が答えを出す前に考えること

「事前確定届出給与って、やった方がいいですか?」

最近、とてもよくいただく質問です。YouTubeやSNSで「社会保険料を抑えられる方法」として紹介されているのを見て、関心を持った方が多いようです。

とても良い質問だと思います。ただ、私の答えはいつも「会社によります」から始まります。今回は、その理由をお話しします。

事前確定届出給与とは

役員への賞与を、あらかじめ「いつ、いくら支給するか」を税務署に届け出ておくことで、経費(損金)にできる制度です。

活用できる場面は確かにあります。制度そのものが良い悪いという話ではありません。

「節税になるからやる」で決められない理由

この制度を使うには、届け出た内容と、実際の支給額・支給時期をきちんと合わせて管理する必要があります。もし届出とズレてしまうと、想定していたメリットが受けられないどころか、不利になってしまうこともあります。

つまり、メリットの裏側に「管理の手間」と「ミスをしたときのリスク」がセットで付いてくる制度なのです。動画では数字のメリットがわかりやすく紹介されますが、この裏側まで含めて判断する必要があります。

「使える制度」と「使うべき制度」は違う

私が一番お伝えしたいのはここです。

世の中には「使える制度」がたくさんあります。ただ、あなたの会社が「使うべき」かどうかは、別の問題です。

得られるメリットはいくらか。そのために増える手間はどれくらいか。ミスが起きたときに何を失うか。そして、その会社の資金繰りや事業の状況に合っているか。ここまで並べて、初めて「やるべきかどうか」の答えが出ます。

同じ制度でも、A社にとっては良い選択で、B社にとっては割に合わない。これが実際のところです。

税理士の役割は「できます」「できません」ではない

お客様から「この制度を使いたい」と相談されたとき、「できますよ」とだけ答えるのは簡単です。でも、それでは専門家の意味がないと私は思っています。

その制度で得られるものは何か。手間とリスクを負ってでも使う価値が、この会社にあるのか。そこまで一緒に考えて、ときには「あなたの会社では、やらない方がいいと思います」とお伝えする。それが税理士の役割だと考えています。

まとめ|制度の話は「わが社の場合」で考える

事前確定届出給与に限らず、SNSや動画で知った節税の話は、「わが社の場合はどうか」に置き換えて考えてみてください。そして、判断に迷ったら、あなたの会社の数字を知っている専門家に聞くのが確実です。

(「導入しないと決める」ことも判断のうち、という話は「Manageboardは必要?導入を見送った税理士が考えたこと」でも書いています)

当事務所は、ひとり社長専門のオンライン税理士として、制度のメリットとリスクを「わが社の場合」で一緒に考えるサポートをしています。オンラインでの税理士顧問をご検討中の方は、気軽にご相談ください。

執筆者:海老名佑介(税理士)
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